運送・物流業向け業務診断ガイド|よくある課題とシステム化の優先順位

「配送計画は結局ベテラン担当者の頭の中にしかない」「ドライバーの日報を集計するだけで、月末に丸一日かかっている」——運送・物流業を経営される方の中には、こうした業務のもどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。
運送・物流業は、荷主からの受注・傭車手配から配車計画、運行管理、原価管理、請求・支払まで、一つの案件に関わる業務範囲が非常に幅広い業種です。加えて2024年4月に本格適用された時間外労働の上限規制(いわゆる「物流の2024年問題」)により、限られたドライバー数・車両数でどう業務を効率化するかが経営課題になっています。この記事では、運送・物流業で起こりがちな業務課題を整理し、業務診断によって何が明らかになるのか、そしてシステム化を検討する際の優先順位の付け方を解説します。
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無料でAI診断する運送・物流業が抱えがちな業務課題
配車計画・ルート組みが属人化し、担当者が休めない
配車計画やルート組みをベテラン配車担当者の経験と勘に頼っていると、その担当者が不在の日は配車が回らない、新人が独り立ちするまで時間がかかるといった問題が生じます。荷量や道路状況の変化に応じた最適な配車の判断根拠が個人の頭の中にしかなく、業務が特定の人に集中しがちです。
運行日報・車両管理が紙とExcel中心で、集計に時間がかかる
ドライバーの運行日報や車両点検記録を紙の帳票やExcelで管理していると、月末や月初にそれらを一枚ずつ集計する作業に多くの時間が取られます。労働時間や休憩時間の集計を手作業で行っていると、改善基準告示への対応状況をリアルタイムに把握しづらいという課題もあります。
原価管理がどんぶり勘定になり、案件・路線ごとの採算が見えにくい
燃料費・車両維持費・傭車費・人件費を路線や荷主ごとに集計せず、月次の総額だけで管理していると、どの路線・どの荷主との取引が採算に合っているのかを正確に把握できません。燃料価格の変動が続く中、案件別の収益性が見えないままでは、価格交渉や取引の見直しの判断材料も不足しがちです。
荷主とのやり取りがFAX・電話中心で、受発注に手間がかかる
配車依頼や運送状のやり取りをFAXや電話で行っていると、記載内容の確認や聞き間違いによる手戻りが発生しやすくなります。荷主ごとにフォーマットが異なる依頼書を都度手入力し直す作業も、事務担当者の負担になりがちです。
請求書発行・支払管理が手作業で、締め処理の負担が大きい
運送実績にもとづく請求書発行や、傭車先・協力会社への支払管理をExcelと紙の請求書で行っていると、締め日前後の事務作業に多くの時間を取られます。案件数・荷主数が増えるほど、この事務処理の負担が配車や労務管理を担う立場の方の本来業務を圧迫する要因になりがちです。
業務診断でわかること:自社の課題を客観的に整理する
どの業務がボトルネックになっているかを可視化する
日々の配車業務やドライバー対応に追われていると、受注から請求までのどの工程に時間とコストがかかっているのか、客観的に把握しにくいものです。業務診断では、受注・傭車手配から配車計画・運行管理・原価管理・請求までの業務プロセスを一つずつ洗い出し、時間がかかっている箇所、属人化している箇所を明確にします。
SaaSで十分か、専用システムが必要かの判断材料が得られる
配車管理・運行管理・原価管理には、運送業界向けの汎用クラウドサービスから自社の商流に合わせた専用システムまで、さまざまな選択肢があります。業務診断を行うことで、自社の車両台数や取扱貨物の種類、荷主とのやり取りの形式、既存の会計・給与システムとの連携要否を踏まえ、既存のSaaSで対応できる範囲なのか、独自の運用に合わせた開発が必要なのかを判断する材料が得られます。
投資対効果を踏まえた優先順位が明確になる
すべての業務を一度にシステム化しようとすると、費用も時間もかかり、現場のドライバーや配車担当者の負担も大きくなります。業務診断を通じて課題の大きさや改善効果を比較することで、「まず運行日報の電子化から着手する」「配車計画の最適化は次のステップにする」といった、投資対効果を踏まえた優先順位を立てやすくなります。
業務診断からシステム化までの3つのステップ
業務診断を受けたあと、実際にシステム化を進める際は、次のような順序で検討を進めると無理なく進めやすくなります。
- 現状の業務フローを棚卸しする:受注・傭車手配から請求・支払管理まで、誰が・何を・どのように行っているかを書き出し、時間がかかっている工程や属人化している工程を洗い出します。
- 優先度の高い業務から改善策を検討する:業務診断の結果をもとに、労務管理上のリスクや事務負担につながりやすい業務から優先的にシステム化の検討を進めます。
- 小さく導入して効果を検証しながら拡張する:まずは一部の路線・一部のドライバーで試験的に導入し、運用状況を見ながら対象業務や範囲を広げていきます。
【業務別】運送・物流業で効果が見込めるシステム化のポイント
配車計画のシステム化で、属人化の解消と業務の平準化
荷量や車両の空き状況、ドライバーの稼働状況をシステム上で一元管理し、配車計画を組みやすくする仕組みを導入することで、特定の担当者に依存しない配車体制を築きやすくなります。ベテランのノウハウをデータとして残せる点も、人材育成の観点で大きなメリットです。
運行管理・日報の電子化で、集計業務と労務管理を効率化
ドライバーの運行状況や労働時間、休憩時間をスマートフォンなどからリアルタイムに記録できる仕組みを導入することで、月末の集計作業を大幅に削減できます。改善基準告示への対応状況をリアルタイムに可視化できる点も、労務管理上の安心材料になります。
原価管理のシステム化で、路線・荷主別の採算をリアルタイムに把握
燃料費・車両維持費・傭車費・人件費を路線や荷主ごとに集計できる仕組みを導入することで、どの取引が採算に合っているか、どこでコストが膨らんでいるかを早期に把握できます。燃料価格の変動にも素早く対応しやすくなり、荷主との価格交渉の材料にもなります。
受発注のシステム化で、荷主とのやり取りをスムーズに
配車依頼や運送状のやり取りをオンラインで完結できる仕組みを導入することで、FAXや電話での確認作業、手入力の手間を削減できます。荷主・自社双方の事務負担が軽くなり、依頼から配車完了までのリードタイム短縮にもつながります。
請求・支払管理の効率化で、締め処理の事務負担を軽減
運送実績にもとづく請求書発行や、傭車先・協力会社への支払データをシステム上で管理し、会計システムと連携できる仕組みを導入することで、締め日前後の事務作業にかかる時間を削減できます。入金・支払状況を一覧で把握できれば、資金繰りの見通しも立てやすくなります。
運送・物流業がシステム化を進める際の注意点
貨物自動車運送事業法や改善基準告示に関わる要件を踏まえる
運送状の記載事項や、ドライバーの労働時間・休憩時間の管理に関するルールなど、法令上求められる要件は業務フローの根幹に関わります。システム化にあたっては、必要な記録項目を省略しすぎないよう、業界の実務に理解のあるパートナーと設計を進めることが大切です。
ドライバーのITリテラシーに配慮したシンプルな操作性
現場で使うツールは、事務所内で使うシステム以上に「誰でも迷わず使える」ことが重要です。運転中の操作を前提としないUI設計や、入力項目を必要最小限に絞る工夫が、ドライバーへの定着を左右します。
小さく始めて効果を検証しながら拡張する
いきなり全業務をシステム化するのではなく、まずは運行日報の電子化や原価管理など効果が見えやすい業務から着手し、運用しながら次にシステム化すべき業務を見極めていくと、無理なく定着させやすくなります。システム化すべき業務の見つけ方全般については、業務改善の始め方ガイド|システム化すべき業務と具体例もあわせてご覧ください。
他業種の業務診断ガイド
業種によって業務課題やシステム化の優先順位は異なります。近い業態のガイドもあわせてご覧ください。
業種を問わない業務改善の進め方は、業務改善の始め方ガイド|システム化すべき業務と具体例で解説しています。
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運送・物流業の業務には、配車計画・運行管理・原価管理・請求管理など、改善の余地がある業務が数多くあります。とはいえ、「自社の場合、何から手をつければ良いのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
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